クマムシのたべもの

みなさんからいただく質問のなかで最も多いことのひとつが、「クマムシは何を食べているの?」というものです。

現在まで、クマムシは全部で1200種類ほどが知られています。しかしながら、このなかでその食性について明らかになっている種類は、とても少ないのです。

コケの中に棲むクマムシには、1.ワムシやセンチュウなどの微小動物を食べる肉食性のもの、2.コケや藻類などを食べる植食性のもの、3.それらの両方を食べる雑食性のものがいます。また、細菌を食べる種類もいそうですが、はっきりとしたことは分かっていません。

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すでに紹介したヨコヅナクマムシは、実際の生息地で何を食べているかは、まだ分かっていません。しかし、クロレラを食べて育つことは、分かっています。

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ヨコヅナクマムシはクロレラを食べて育ちますが、どんなクロレラでもよいというわけではありません。クロレラ工業株式会社の「生クロレラV-12」という銘柄のクロレラでなければ育たないのです。

「生クロレラV-12」は、もともとは水産用飼料として、養殖用稚魚の餌となるワムシを育てる目的に使われていました。「生クロレラV-12」が含む栄養成分は、クマムシの生育にも適しているのでしょう。このクロレラを餌にすると、ヨコヅナクマムシはぐんぐん育ち、卵を産みます。

ちなみに、ほかに研究室で飼育しているドゥジャルダンヤマクマムシや南極クマムシAcutuncus antarcticusも、この「生クロレラV-12」を食べて育ちます。「生クロレラV-12」がなければ、これらのクマムシを飼育することは非常に困難でした。それは、この商品なしではクマムシ研究を進めることが難しかったことも意味します。

生物研究の根幹には、その研究対象生物にとって適切な食べものがあるかどうかが、とても大きなポイントとなるのです。