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12月13日と14日に、堀川が京都で開かれたイベントいきもにあでクマムシの講演とクマムシグッズの出展をしました。

そのときに、クマムシの研究をされている木津高校科学部の方々とお話をさせていただきました。木津高校科学部では顕微鏡観察を中心としたクマムシの乾眠を研究しているそうで、生徒さんからもクマムシについての質問をいくつかいただきました。最近はクマムシの研究を行っている中学高校が増えているようで、クマムシ研究をする者としては、クマムシ研究の輪が広がって嬉しい限りです。

木津高校の校舎に生育する地衣類からは、茶色のクマムシがよく取れるということで、この地衣類も分けていただきました。さっそく地衣を水に浸してクマムシが出てくるか確認してみました。

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すると、いました。

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たしかに茶色のクマムシ。しかも、こちらで飼育しているヨコヅナクマムシにうりふたつ。見分けがつかないほど、よく似ています。お腹のところが少し緑色になっているのは、食べた地衣が透けて見えているからだと思われます。

このクマムシが飼育できるかどうか、ヨコヅナクマムシに与えているのと同じクロレラ工業株式会社の「生クロレラV12」を餌として育つかどうか、現在検討中です。どんどん増えることを願って・・・。

三重県鳥羽市にある鳥羽水族館。ダイオウグソクムシなど、ちょっと変わった生きものを展示している「へんな生きもの研究所」で有名です。

2015年夏から、ここにでヨコヅナクマムシも展示されています。クマムシ博士が鳥羽水族館カリスマ飼育員さんの森滝丈也さんにヨコヅナクマムシをおすそ分けしたのが始まりでした。

鳥羽水族館でもヨコヅナクマムシの飼育に使われているのは、クロレラ工業株式会社の「生クロレラV12」。ヨコヅナクマムシ以外にも、サンゴにあげて育つかどうかを確かめているのだとか。

生クロレラをサンゴ水槽に投入しました:鳥羽水族館飼育日記

鳥羽水族館でのヨコヅナクマムシ、子どもから大人まで人気は上々のようです。中京テレビのニュース番組「ニュース キャッチ!」でも、鳥羽水族館の特集コーナーでヨコヅナクマムシが取り上げられました。

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そのうち、全国の水族館や博物館でクマムシが展示され、みなさんに可愛がってもらえる日が来ることを切に願っています。

みなさんからいただく質問のなかで最も多いことのひとつが、「クマムシは何を食べているの?」というものです。

現在まで、クマムシは全部で1200種類ほどが知られています。しかしながら、このなかでその食性について明らかになっている種類は、とても少ないのです。

コケの中に棲むクマムシには、1.ワムシやセンチュウなどの微小動物を食べる肉食性のもの、2.コケや藻類などを食べる植食性のもの、3.それらの両方を食べる雑食性のものがいます。また、細菌を食べる種類もいそうですが、はっきりとしたことは分かっていません。

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すでに紹介したヨコヅナクマムシは、実際の生息地で何を食べているかは、まだ分かっていません。しかし、クロレラを食べて育つことは、分かっています。

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ヨコヅナクマムシはクロレラを食べて育ちますが、どんなクロレラでもよいというわけではありません。クロレラ工業株式会社の「生クロレラV-12」という銘柄のクロレラでなければ育たないのです。

「生クロレラV-12」は、もともとは水産用飼料として、養殖用稚魚の餌となるワムシを育てる目的に使われていました。「生クロレラV-12」が含む栄養成分は、クマムシの生育にも適しているのでしょう。このクロレラを餌にすると、ヨコヅナクマムシはぐんぐん育ち、卵を産みます。

ちなみに、ほかに研究室で飼育しているドゥジャルダンヤマクマムシや南極クマムシAcutuncus antarcticusも、この「生クロレラV-12」を食べて育ちます。「生クロレラV-12」がなければ、これらのクマムシを飼育することは非常に困難でした。それは、この商品なしではクマムシ研究を進めることが難しかったことも意味します。

生物研究の根幹には、その研究対象生物にとって適切な食べものがあるかどうかが、とても大きなポイントとなるのです。