2015051001

前回の続きです。ヨコヅナクマムシはメスばかりで、交尾なしで卵を産みます。オスとメスが交尾をして生殖することを、性が有る生殖ということで「有性生殖」といいますが、これに対してヨコヅナクマムシでみられのように交尾なしでの生殖は「無性生殖」とよばれます。上の写真にある黒っぽいボールのような物体が、横綱クマムシの卵です。体のサイズに比べてずいぶんと大きな卵を産むのです。

ところで、漫画『ドラゴンボール』でピッコロ大魔王は卵を口から吐き出して産んでいました。ピッコロ大魔王はナメック星人なのですが、かれらは性がありません。卵を産むのはメスの役割なので、かれら、いや、彼女らはメスなのです。ナメック星人は、ヨコヅナクマムシと同様に、交尾をせずに無性生殖をするのですね。

ヨコヅナクマムシを飼育していると、培地の上で多数の個体が一カ所に集まってじっとしている場合があります。そんな場所のまわりには、ほぼ決まって大量の卵が産みつけられています。ヨコヅナクマムシがなぜ、そして、どのようにしてお互いに集まっているのかは、まだ分かっていません。また、ヨコヅナクマムシ以外の種類のクマムシでは集合行動は確認されていません。

ヨコヅナクマムシが特定の化学物質に誘引することが分かれば、クマムシの行動学実験もできるようになるでしょう。

クロレラを食べて元気に育つクマムシたちは、どうやって成長し、増えるのでしょうか。

タイトルに答えが書いてあるのでバレバレですが、正解は、脱皮して、卵を産みます。クマムシが占める緩歩動物門は、さらに広い分類で言うと脱皮動物上門に属します。ここにはセンチュウなどの線形動物門や、昆虫やクモやカニなどが属する節足動物門が含まれ、まぁ遠い遠い、数億年前までたどれば親戚、のような関係にありますが、みんな脱皮をして成長します。

ある程度成長すると、クマムシは卵を産んで増えます。私たちが飼育しているクマムシはみな雌のみで単為生殖を行いますので、一匹からでも増えます。そうやって堀川博士が一匹から増やしたヨコヅナクマムシがYOKOZUNA-1という系統です。前回の記事でクロレラと共に生活している状態のヨコヅナクマムシの写真がありましたが、そこで矢印がついている丸い物体がヨコヅナクマムシの卵です。

脱皮して成長し、卵を産んで増える。どちらも増えるための過程なので、この二つを同時に行うクマムシもいます。ドゥジャルダンヤマクマムシがまさにこのタイプで、脱皮する時にその抜け殻に卵を産み落とします。以下の動画が貴重な脱皮の瞬間のシーンです。6分過ぎに殻を破ります。

つぶさに観察しているとたまにこんなシーンにも立ち会えるのが飼育の楽しさでもあります。